本に逢える喜び

 通勤の行き帰り、ゴゴシマ屋さんの店頭を横目で見ながら通りすぎる。その中に、何でいつまでも並んでいるのかという本がある。その本、それがこの本でもあるのだ。函から何回も出されて見られたのだろう、グラシン紙は破れて、函の内側に巻かれた紙は四方隅共めくれ脹れ上がっている。何かのめぐり合い、出会う本も限られている。この本を買って、四方隅にボンドを付けて、不器用ながら直していく、この本も少しは喜んでいるだろうか。



 購入本
  《N・G》
   川野彰子    【廓景色】講談社