【山の絵本】

  岸田日出刀【建築評論隋集 窓】相模書房、建築の端っこで仕事をしている関係でこの人の名前は聞いたことがあり、すぐさま手に取りました。東京大学安田講堂など多数の作品を残している。(http://www.tokyokenchikushikai.or.jp/tatemonomap/tokyo50/t28/t28.htm)あの有名な丹下健三の先生格に当たる人のようだ。
  本を選ぶとき、直ぐにとるときとじっくり見るときがありますが、尾崎喜八【山の絵本】岩波文庫は、文庫本で最初のカバーだけで取りました。本が何かを醸しだしてくれそうな雰囲気を持ったように感じたのです。こうした山を愛した人・作家・詩人がいたのかをまたひとり知りました。解説を書いている串田孫一より先輩のようだ。

  
  秋の日

  そしてついに玉のような幾週が来る。
  夏の醗酵をおわった自然は
  おもむろにまろく熟して安定した層になり、
  きょうの秋の日には下ほど濃く、
  上へゆくほど晴れやかにすきとおって、
  かろく きらきらと
  うっとりと 甘く 涼しい。
  山にかこまれた此の地方は
  あたかも震えるふちを持った
  薄い大きな杯のようで、
  快美な秋は流れて隣る国々への祝福となる。
  しかしその喜びには深くまじめなものがあり、
  酔いそのものも健康で、
  充実した仕事の毎日が彫塑的だ。

  (尾崎喜八集より)



昨日、昼休みにエンテツさんの『ザ大衆食つまみぐい』(http://enmeshi.way-nifty.com/meshi/)を読むと、日曜日に会ったばかりの塩山さんのこと、南陀楼さんのことが一杯と書いてある。何より驚いたのは、山崎さんのブログ(http://blog.7th-sense.sub.jp/)に、何十年まえに住んでいた埼玉・鶴ヶ島市のことが東上線若葉駅の近くにシネコンが出来たとは聞いていたが、昔は駅の周りには何もないところが、こんな文化的な街になったのかと感慨に耽ってしまうのだ。




購入本
  《O・S》
   長田弘     【散歩する精神】岩波書店
   岸田日出刀   【窓】相模書房
   石川淳     【影】中央公論社
   桶谷秀昭    【土着と状況】南北社
   林謙一     【おはなはん文藝春秋
   森有正     【土の器に】日本基督教団出版局
   中村融訳    【ガルシン全集 上巻】創藝社
   中村融訳    【ガルシン全集 下巻】創藝社



  《Og》
   藤沢周平    【周平独言】中公文庫
   桂枝雀     【らくごDE枝雀】ちくま文庫
   寺山修司    【新・書を捨てよ、町へ出よう】河出文庫
   尾崎喜八    【山の絵本】岩波文庫
   田山力哉    【ヨーロッパニューシネマ名作全史】現代教養文庫
   北杜夫     【或る青春の日記】中公文庫