トークを聞きに行く


 千駄木の古書ほうろうに下記のトークを聞きに行く。時間ぎりぎり、予約していていないので心配していたが、店前でKさんがにっこりして向かえてもらった。店内に入ったらYさん夫妻、NEGIさん、退屈男さん、畠中さん,三五さんの顔もあり妙に懐かしい気分だ。このトークを聴いていて、あることを思い出していた。随分前のことだが、小さい事務所に勤めていたとき、仕事の打合せの為に相手先の会社を何軒も廻る。そのおり、社長と一緒に付いていく、当然最初は挨拶のあと世間話から始まっていく、『昨夜、[大岡越前]に出ていた宇都宮雅代、いいねー』と相手先の人が言うと『いいですね』と言って相槌をうつのだが、次の会社に行ったとき、こんどはこちらから『昨夜、[大岡越前]に出ていた宇都宮雅代、いですね』と言い出すのだ。えーっと思う、昨夜は放送されたころには事務所にまだ居たし、まして先ほど聞いたばかりのこと・相手先が言ったこと、同じ話をするとは…。ところがこの社長、話題がないかと言えばそんなことはない、電車の中で本がないと落ち着かないという人で無類の読書家なので聞けばいろんなことを知っているのだ。いかにも昨夜見たように話を継ぎ足して話していくのだ。これが絶妙に上手いのだ。『盗作も芸の内』なのか。トークには、菊池寛久米正雄筒井康隆大藪春彦庄司薫倉橋由美子寺山修司澁澤龍彦等々。私には、ただただ聴いていて驚くことが多かった。トークの間に朗読もあって、文字しか見えない部分も分かる気がしたが。本には出ていないことなどトークでは一杯聴けた、生身の声で聴くと本つくりに対する思いが聴けて、今日も本の何十倍も価値があるように思えるトークだった。


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『ぐるり』プレゼンツ
南陀楼綾繁トーク十番勝負 その4
声に出して読みたい盗作〜『〈盗作〉の文学史』刊行記念〜
出演

栗原裕一郎(ニュー評論家)

南陀楼綾繁(ライター・編集者)

ゲスト

安藤礼二(文芸評論家)

朗読

佐藤わこ(詩人)

井伏鱒二庄司薫大藪春彦山崎豊子立松和平……。著名作家をめぐって囁かれてきた〈盗作〉疑惑を徹底検証した、『〈盗作〉の文学史 市場・メディア・著作権』(新曜社)の著者・栗原裕一郎さんをお招きして、このスキャンダラスにして業の深い問題を語り合います。『神々の闘争 折口信夫論』(講談社芸術選奨新人賞受賞)の安藤礼二さんもゲストとして参戦。オリジナルと盗作を並べての朗読タイムなど、底意地の悪いトークになりそう!? 

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http://www.shin-yo-sha.co.jp/mokuroku/books/978-4-7885-1109-5.htm