梅雨は、もう明けたのか

 もう梅雨は明けたのか、日差しが強い。夏日みたいガンガン照り付けて蒸し暑い。それでも歩いて荻窪まで行く。荻窪<ブ>に寄ってみる、単行本2冊1000円セールを。セールのメールが入ったので。11時半、ケイタイ片手の人たちが何人もいて、それぞれカゴを一杯入れて1冊ずつカゴから取り出してケイタイでチェックしている。カゴが6ヶか7ヶの人もいる。高めの本は、みんなカゴの中か。白洲正子【いまなぜ青山二郎なのか】新潮社、石堂淑朗【偏屈老人の銀幕茫々】筑摩書を2冊選んで買う。宇野千代青山二郎の話】を読んで青山二郎に興味が出て、【いまなぜ青山二郎なのか】の冒頭に本人と陶器・茶碗・徳利・ぐいのみなどの写真が出ている。そこから、高円寺の西部古書会館の古書展へ。水原秋櫻子【玄魚】近藤書店、1000部限定、ちょっと表紙が痛んでいるが200円なら、金子光晴【ねむれ巴里】中央公論社、3刷でも100円なら。冷房が効いているところで涼んで精算して、外に出るが直に体が熱くなってしまう。電車で、御茶ノ水へ。神保町の東京古書会館の古書展、高円寺よりお客さんが少ない。窪田空穂編【短歌文学全集】第一書房、200円を1冊だけ買う。ヒナタ屋で入ってすぐに水を飲む、これがオイシイ。休憩して読書。勝目梓【小説家】を読む。自伝的な小説、これスゴイ。ページの中ごろまで小説家の雰囲気が出てこない。当り前であるが、子供のころから高校を中退して鉱山で働くことが、ぐるりぐるりして書かれている。終りの方では中上健次、森敦など実名で出てくる。<>その頃の森敦は、新宿区筑土八幡町の近代印刷という社名の、小さな印刷会社に身を置いて、経営者の補佐役のような仕事に当たっていた。もちろん芥川賞を受ける前の、文学的には無名だった時代である。
 それにもかかわらず、その印刷会社には、森敦から文学の話を聴いたり、創作の指導や助言を受けたりする数多くの文学愛好家や作家志望者たちが、´森敦詣でといったようすでひっきりなしに出入りしていた。その中には、彼が知るところだけでも、小島信夫後藤明生などの既成の作家の顔も見られた。直木賞を受けている三好徹も、無名時代の森敦に出会って、その独特の文学理論に大きく影響を受けた一人である。彼はその話を当事者の双方から直接聞いている。(本文より)<>
 話を戻すと、勝目さんは芥川賞直木賞の候補にもなっている。私が知っているのはスポーツ新聞の官能小説的な作家としてしか知らなかった。人生があって、書くことに目指して、ある程度書き手として認められても、そこには何があるのだろうかという思いが残る。ブンガクとは何か。読了して、外に出るとまだ暑さが残っていた。


小説家

小説家



いまなぜ青山二郎なのか

いまなぜ青山二郎なのか




 購入本
  《O・S》
   和辻哲郎    【和辻哲郎全集 第四巻】岩波書店
   福田定良・岡本博【現代タレントロジー法政大学出版局
   内村祐之    【わが歩みし精神医学の道】みすず書房
   深沢七郎    【庶民列伝】新潮社
   中山義秀    【春の眉】朝日新聞社


  《Og》
   白洲正子    【いまなぜ青山二郎なのか】新潮社
   石堂淑朗    【偏屈老人の銀幕茫々】筑摩書房


  《S・K》
   金子光晴    【ねむれ巴里】中央公論社
   水原秋櫻子   【玄魚】近藤書店
   外村繋     【濡れにぞ濡れし】講談社
   

  《T・K》
   窪田空穂編   【短歌文学全集】第一書房