桜庭さんに会いに東大へ

 
 朝起きて外を見ると、今日は梅雨にしては雨が大粒な感じだ。家人たちが旅行でいないので、食パンにバターを塗って、その上にスライスチーズを乗せてオーブンで焼いて食べる。それに牛乳のなかにオレンジジュースを入れて飲む。雨でどうしょうかと考えたが知ったことなので出掛けることにする。その前に、高円寺で降りて西部古書会館の古書展に寄る。雨で思った以上にお客さんが少ない。こういう時、ゆっくり見れるのだが先の予定があり、ちょっと忙しなく見て廻る。会館に入るとき、傘を傘入れに置いたのだが一瞬無くなるのではと思ったが、その悪い方になってしまった。ビニル傘なので、尚そう思ったのだ。こういう面でも東京古書会館との違いを感じてしまった。同じ古書店さんが出していても、西部と東京では違いがあるように写ってしまう。駅まで濡れて歩いて、スーパーで傘を買う。余計な出費だが、ビニル傘で来たのが悪かったのか。市ヶ谷で南北線に乗り換えて、東大前に。東大でのイベント、《世界の文学とラテンアメリカ》(http://www.l.u-tokyo.ac.jp/cgi-bin/report.cgi?mode=2&id=152)を聴く。早めに着いて、会場に流れるラテン音楽を聴きながら待っていると、後から後から人が入ってきて始まるころには満員になる。一部は野谷教授が桜庭さんにラテン文学を聞くと言うスタイルで話が進んでいく、ラテン文学などなじみがないが聴いていて、それなりに面白く興味が湧いてくる。休憩を挟んで二部は3教授と桜庭さんで。そのあと質問コーナーがあり、4人の気に入った小説の一節の朗読があって終わった。あっという間の2時間半だった。桜庭さんの読書量には驚かされ、それが作家という大きなバックボーンの要素になっているのか。柴田元幸さんの本は3,4冊しか読んでいないが、やはり直に話を聞いていると本からの印象とは違って見えた。それにしても大学教授は話が上手い、それが商売なんだからか、が長い。(ホンの一言が…)『<世界>を<せかい>とひらがなで書いているが何か意味があるのか』『学校生活に例えると<世界>は、授業だったり、職員室、<せかい>は、授業中に保健室でいること、屋上にいること』と桜庭さんが答えていたのが印象的だった。公の世界とそれからちょっとはずれたのが<せかい>なので、それが小説には大事になってくる。外に出たら、まだ大粒の雨が降っていた。
(モンガの西荻日記より)



購入本
  《N・O》
   紀田順一郎     【古本屋探偵の事件簿】創元推理文庫
   菅野昭正      【詩の現在 12冊の詩集】集英社
   島尾敏雄      【贋学生】河出書房新社


  《O・S》
   菅谷規矩雄     【菅谷規矩雄詩集】あんかるわ業書刊行会
   伊良波盛男     【詩集眩暈】国文社
   大野新       【家 大野新詩集】永井出版企画
   田中千禾夫     【冒険・藤堂作右衛門の】講談社


  《S・K》
   永六輔 大竹省二:写真【赤坂檜町テキサスハウス】朝日新聞社
   小田島雄志     【道化の鼻】白水社
   中山義秀      【二つの生涯】新潮社
   幸田成行      【露伴随筆 第一冊】岩波書店
   早稲田大学編    【日本の近代文藝と早稲田大學】早稲田大学