建築家・吉田五十八の作品には、大きなビルなどがあるが、住宅が際立っていいように私は思う。この本で、最初の項[吉屋信子邸]で、取材記者がこう書いている。
 「新宅の外観はあたかも洛北あたりの数寄屋に見るような瀟洒な姿。杉の格子戸をひらいて一歩入ると白い川砂に黒竹がまだらに生え、門の裏側が供待風の亭になっている。座敷の柱は全部節無しの杉の丸太の磨き出し、梁と屋根は竹づくめ。断髪洋装の吉屋信子さんにはちと不似合いな好みだなあ……と思うとたん、ぶつかったのがこのベランダ。ここにドッカと腰を下ろして細巻をくゆらす女史を見たい」 

建築家吉田五十八

建築家吉田五十八

建築家・吉田五十八


 購入本
  《N・O》
   石川淳      【至福千年】岩波書店
   吉田秀和     【私の好きな曲】新潮文庫


  《O・R》
   砂川幸雄     【建築家・吉田五十八晶文社
   近藤在志     【現代教会建築の魅力】教文館


  《Og》
   マルセル・プルースト 鈴木道彦:訳【失われた時を求めて集英社
   新潮社:編    【昭和文学アルバム(Ⅰ)】新潮社